Ooids and coated grains
ウーイド・被覆粒子
炭酸塩岩には,何らかの粒子(遺骸粒子・石英粒など)を核として,球形(もしくは楕球形)のより大型に発達した粒子が頻繁に認められ,これらは被覆粒子 (coated grains) として総称される.核を被覆する部分は皮殻(cortex)と呼ばれる.被覆粒子には,多種多様の起源を持つものがあり,様々な分類・命名法が提案されているが,被膜の性質を基に分類する方法が一般的である.ここでは,被膜が主に化学的プロセスで生成するものを「2.4. ウーイド・被膜粒子」で解説し,生物的プロセスで生成するものを「2.5. 凝集粒子」で扱う.
左図で,本章で用いた用語について説明する.ウーイドは被覆粒子の中で最も一般的なものであり,1) 海水から化学的プロセスで生成し,2) 直径2mm以下のものに限定して使用する.これに対して,直径2mm以上のものをピソイド (pisoids) と呼ぶ (Peryt, 1983).また,陸上で沈澱したものはヴァドイド (vadoids) と呼ばれる.生物的プロセスが重要なものは,オンコイド (oncoids) が代表的である.
現世において,ウーイドは主に暖かく,炭酸カルシウムに対する過飽和度が高く,水のエネルギーが高い極浅海環境で生成している.これらの物理/化学的条件により,核粒子に次々と炭酸カルシウムが付着するものと考えられる.ウーイドの皮殻には同心円状のラミナが発達し,長軸がラミナと垂直方向に配列した針状アラレ石結晶で構成される.具体的な生成場として,バハマバンクやペルシャ湾が挙げられる.
現世のウーイド被膜は鉱物的にはアラレ石である.しかし,地質時代(顕生代)を通して見ると,皮殻の鉱物組成は周期的にアラレ石−方解石の変化を示している (Sandberg, 1983).この鉱物組成の変化は Sandberg curve と呼ばれ,気候の第一次変動(温室期−氷室期の変化)に同調していると指摘されており,大気の二酸化炭素分圧 (Wilkinson and Given, 1986) や海水のMg/Ca比 (Hardie, 1996) の変化に原因が求められている.
Preface
Authers
Index
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