続成作用
続成作用は炭酸塩堆積物が堆積した直後から石灰岩になるまでに起こる作用であり,堆積物の組織的安定化(セメントや圧密による孔隙率の減少)と鉱物的安定化(高Mg方解石・アラゴナイト→低Mg方解石・ドロマイト)により特徴付けられる.高温高圧条件で起こる大理石化は続成作用には含められない.
続成環境 - 続成作用が起こる環境は孔隙水の化学組成や温度・圧力などの物理的条件により,1) 海水飽和帯 (marine phreatic zone),2) ヴァドース帯 (vadose zone),3) 淡水飽和帯 (meteoric phreatic zone),4) 混合水帯 (mixing zone),5) 深部埋没帯 (deep burial zone) の5つに分けるのが一般的である.これらの続成環境の間には化学−物理的条件に明確な違いがある.続成環境によって沈殿するセメントの形態や鉱物・化学組成が異なっている.
●海水飽和帯→孔隙の中に海水が充填している環境.海底に堆積した炭酸塩粒子が最初に続成作用を受ける環境である.海成セメントは礁 (reef)・瀬(shoal)・海岸などの水のエネルギーが大きい場所で沈殿しやすい傾向がある.
●ヴァドース帯→地下水面 (water table) より上の陸上の環境.鍾乳洞の中がこの続成環境に相当する.上部では石灰岩の溶解が,下部では鍾乳石などの2次的堆積物の生成が卓越する.
●淡水飽和帯→地下水面より下で,孔隙の中に淡水が充填している環境.ヴァドース帯と合わせて淡水続成環境とも呼ばれる.
●混合水帯→海水飽和帯と淡水飽和帯の間に位置している続成環境.孔隙の中を満たしているのは海水と淡水の混合溶液である.ドロマイト生成の代表的な環境である.
●深部埋没帯→最も深部に位置している続成環境.一般に孔隙を満たしているのは塩分濃度の高い塩水 (brain) である.上部に位置している海水飽和帯・淡水飽和帯との境界は明確に定義出来ないが,深部埋没帯では圧力溶解 (pressuresolution) が卓越するという特徴がある.