日時:2026年7月31日(金) 17:30〜18:30 (発表45分,質疑15分)
場所:理学部1号館105号室 講演者:鈴木勝彦 上席研究員(海洋研究開発機構・海底資源研究プログラム)
演題:日本はなぜ海洋鉱物資源に恵まれているのか? – 生成プロセスの科学的研究の重要性 – 要旨:近年、脱炭素技術に不可欠なレアメタルや、AIインフラを支える半導体・電力設備などに用いられる金属資源の需要は、今後さらに増加すると予測される。一方で、陸上鉱物資源には枯渇の懸念があり、特定の国や地域に偏在するという課題もある。こうした状況を背景に、新たな供給源として海底鉱物資源への期待が高まっている。 日本近海に多様な海底資源が存在する背景には、二つの地質学的条件がある。第一に、日本はプレートの沈み込み帯に位置し、海底火山活動に伴う熱水鉱床が形成されるポテンシャルを持つことである。第二に、鉄マンガンクラスト、マンガンノジュール、レアアース泥はいずれも形成に数千万年を要するため、世界でも最も古い海洋地殻が広がる太平洋プレート西端は、これらが十分に成長する時間的優位性を備えている。 海底資源の研究は、資源量や分布を調べるだけでなく、その形成過程を解明し、持続可能な開発の基盤を築くために重要である。地質学・地球化学・海洋物理学に加え、生物学、古生物学、資源工学、環境科学などが連携する総合科学としての研究が不可欠である。本稿では、こうした科学的研究の成果を紹介するとともに、将来の資源開発に向けた技術的・環境的な課題についても簡単に触れていく。