コンセプト
地球環境は生命との関わりの中で進化してきた。過去38億年間の地層記録は,生命がゆっくりと,あるいは劇的に環境を変えてきた歴史を物語っている。そして,今,人類は地球環境を大きく変えようとしている。
科学技術の進歩に伴い大量に消費される石油や石炭は,光合成という奇跡的な生命の営みの遺産に他ならない。植物と微生物によりもたらされた化石燃料の恵みを,人類はほどんど無意識のうちに享受し,数100年間で使いつくそうとしている。私たちが,今後数万年〜数10万年を超えて,現在の文明的な生活を継続するためには,化石燃料への依存から脱却しなければならない。
人類は二酸化炭素を放出するスピードにおいて,地球史上最強の生命である。そして,それが地球温暖化という問題を派生することが意識されつつあるが,私たちの地球温暖化についての理解は漠然としたままだ。近い将来の気候条件にいたっては,全くと言って良いほど具体的に予測できていない。
「エネルギー」や「気候変動」は人類にとって重要な問題であることは間違いないが,より重要な課題は,これらの問題を生み出した発展至上主義的な考えを改め,地球との共生を意識した哲学を創り出すことだ。それは地球の最大の命題であり,儒教やキリスト教を超える宗教として,幸せな社会を後の世代に残すための糧となる。ここで果たされるべき地球科学の役割は極めて大きい。
私たちは地球以外に生命がすむ天体を知らない。地球における生命の発生は,適度な温度,大きさ,自転速度,地軸の傾斜,元素組成により加護された奇跡の現象であり,その後の進化もまた奇跡的である。45億年の間,ゆっくりと増加してきた太陽エネルギーに対応して,生命は,あるときはメタンを,その後は二酸化炭素を調整して地球を保温してきた。幸いなことに,地球と生命は自浄作用を持つシステムを創り出したのである。
研究室では,鍾乳石に記録された気候変動情報の解読,温泉環境での生命活動の解析,はるか昔の堆積物中の化石や化学成分の分析を通じて,生命と地球環境の関わりあいについて研究を進めている。近年は日本海でガスハイドレートの研究にも参加し,また,凝集炭酸同位体温度計という新たな分析方法の開発も手がけ始めた。1人の地球科学者が出来ることは少ないが,私は地球科学に課せられた命題を意識し,地球と生命の共生を願う若手科学者・教育者を育成することを心掛けている。

ニュース
2021年2月1日:斎藤諒介君が助教として山口大学に転出しました。

2020年7月1日:研究室活動を再開しました。

2020年4月7日:コロナウイルス感染拡大防止のため,全員が在宅勤務となり,実験装置を停止しました。

2020年4月1日:村田彬君が修士課程に進学し,斎藤諒介君が特任助教として着任しました。

2020年3月23日:宮崎彩さんと江口ゆきさんが修士課程を修了しました。

2019年4月1日:佐久間杏樹さんが博士課程に入学しました。

2018年4月1日:宮崎彩さんと江口ゆきさんが修士課程に入学しました。

2018年3月25日:Hada君が九州大学の修士課程を修了しました。

2017年10月1日:奥村知世さんが高知大学へ助教として転出しました。

2017年7月29日:Jay Quade教授が離日にしました。

2017年4月1日:柿崎喜宏君と奥村知世さんが特任研究員として,雨川翔太君が博士課程後期1年として,森大器君とHada君が特別研究学生としてやってきました。

2017年3月25日:ランテン君と宮原玲那さんが修士課程を修了しました。

2017年3月1日:アリゾナ大学からJay Quade教授夫妻が訪問研究員としてやってきました。

2017年2月1日:加藤大和君が特任研究員として異動してきました。

2016年12月1日:九州大学を退職し,東京大学に着任しました。

2016年9月27日:平野未沙さんが修士課程を修了しました。

2016年4月1日:加藤大和君が学術研究員として着任し,Hada君が国際コースに入学しました。

2015年10月26日:ハサヌディン大学からImran博士が訪問しました。

2015年6月5日:人類紀統合科学国際ワークショップ in Fukuokaを開催しました。

2015年5月31日:アリゾナ大学からDavid Dettman博士が訪問しました。

2015年5月21日:アリゾナ大学からJay Quade教授が訪問しました。

2015年4月1日:ランテン君と宮原玲那さんが修士課程に入学しました。 堀 真子さんが大阪教育大学自然研究専攻に着任しました。

2014年10月1日:森 大器君が台湾への長期研修に旅立ちました。

2014年9月16日:堀 真子さんが日本地球化学会の奨励賞を受賞しました。

2014年8月24日:佐賀大学で開催された地学団体研究会においてシンポジウム「地球史統合科学」を開催しました。

2014年7月1日:柳川勝紀君が学術研究員として着任しました。

2014年4月1日:平野未沙さんと杉原千耶さんが修士課程に入学し,ランテン君が研究生として入所しました。

2014年3月31日:柿崎喜宏君が明治大学,古山精史朗君が産業総合研究所のポスドクとして転出しました。曽根知実さんがマリンワークジャパンに,藤田ひかるさんが経済産業省に就職しました。

2014年3月25日:古山精史朗君が博士(理学)の学位を取得しました。曽根知実さんが修士課程を修了しました。

2014年3月13日:新学府開設を前にデザインをちょっと変えました。

2013年11月1日:奥村知世さんがポスドク研究員として海洋研究開発機構(JAMSTEC)に転出しました。

2013年10月30日:研究内容(Research)をかなり更新しました。

2013年4月1日:森 大器君・藤田ひかるさんが修士課程に入学しました。

2013年3月17日:「炭酸塩コロキウム北九州」閉幕,古山精史朗君が最優秀講演賞を獲得しました。

2012年4月27日:荒川洋平氏・川合達也氏が乗船中の探査船「ちきゅう」が海底掘削深度の世界記録を更新。

2012年4月1日:柿崎喜宏君・奥村知世さんが学術研究員として着任し,曽根知実さんが修士課程に入学しました。

2012年3月31日:國光陽子さんが退職しました。

2012年3月27日:奥村知世さんが博士(理学)の学位を取得しました。黒崎伊織君が修士課程を無事修了しました。

2011年11月1日:白石史人君が広島大学理学研究科地球惑星システム学教室助教に転出しました。

2011年4月1日:國光陽子さんが,学術研究員になりました。古山精史朗君が博士課程後期に進学しました。

2011年3月31日:末峰リサさんが退職し,東京へ引っ越しました。

2011年3月24日:古山精史朗君・高橋森生君が無事修了しました。

2010年10月5日:アメガロン学術研究員が退職し,フィリピンへ帰国しました。

2010年8月16日:末峰リサさんがテクニカルスタッフとして着任しました。

2010年4月1日:アメガロンさんが学術研究員として着任しました。黒崎伊織君が博士課程前期に入学しました。

2010年3月23日:國光陽子さんが博士(理学)の学位を取得しました。

2009年10月1日:柿崎喜宏学術研究員が金沢大学理工学域へ博士研究員として転出しました。

2009年7月1日:高島千鶴学術研究員が佐賀大学文化教育学部講師に転出しました。