EDA新バージョン(Ver. 9.1)の変更点

2003.03.14

 

新バージョンの変更点は以下の2点となっている。

 

1.カメラ定数が非常に不確定な回折パターンの解析

Main FormにおけるRatio Errorの入力ボックスの追加)

標準試料を用いてカメラ定数の正しい値が調べられていない場合や撮影時の中間レンズ電流等に注意を払わなかった場合など、カメラ定数が不確定と考えられる回折パターンでは回折スポット間の距離(d1,d2,d1d2)はかなり不正確となる。しかしそのときでもd1,d2,d1d2の距離の比は保存されるので、この距離の比を使って指数の候補を選別すればよい。新バージョンでは今までの距離に対する絶対的な許容誤差(Distance Error)とともに、3つの測定値とその計算値の比がどれほどの誤差範囲(Ratio Error)で一致するかで、候補を選べるようにした。もしカメラ定数が不確定な場合は従来のDistance Errorに比較的大きな値(あまり大きな値を入れるとエラーになる。せいぜいd1,d2,d1d2のうちの最も小さい値の半分程度)を入力し、Ratio Error(単位は%)に例えば23の数値を入れれば、最適な候補を探すことができる。

 

2.試料に固定された座標系における結晶方位の計算・表示

本プログラムで得られる回折パターンからの主な情報は鉱物や結晶の同定以外に結晶方位がある。試料内の複数の結晶間での方位関係を知りたい場合、試料に固定された(別の言い方をすると試料を一切傾斜していないときの)座標系における結晶方位を計算する必要がある。2軸傾斜ホルダーを用いて主要な晶帯軸に方位合わせをした場合、そのときの2軸の傾斜角を入力して、従来のZoneaxis Mapの結晶方位にこの傾斜角に関しての補正を行う。新バージョンではZoneaxisMapのフォームに新しく3つの入力ボックスを設けてこの補正ができるようになっている。この3つの入力の意味は、

     tilt axis rotation angle:試料ホルダーの軸が回折パターンの水平右方向から何度の角度を有しているかを-180°+180°の範囲で入力する(これは使用する電顕に固有の値である)。

     holder(x)-tilt:試料ホルダーの軸の傾斜角を入力する。

     stage(y)-tilt:試料ホルダー上のステージの軸(試料ホルダーの軸と直交)の入射角を入力する。

これらの入力ボックスに値を入力し、Calcと書かれたコマンドボタンをクリックする(あるいは何らかの方法で再計算させる)と2つの傾斜角度が補正された結晶方位を計算・出力する。尚これらの傾斜角の入力において電顕のディスプレイ等で表示された値の符号をそのままで入力するか、符号を変えて入力すべきかあらかじめ調べておく必要がある。

以上