沿革

【沿革】

地質学・鉱物学・地理学および地球惑星物理学の4専攻の統合・再編によって、2000年4月に「地球惑星科学専攻」が設置されました。「地球生命圏科学大講座」は、地球惑星科学専攻の基幹講座のひとつで、旧地質学および鉱物学専攻に属していた地球表層の科学を研究するグループから成っています。

【目的と活動】

地球は太陽系において生命を生み育ててきたユニークな惑星です。その表層の地球生命圏では岩石圏・水圏・気圏の間で様々な相互作用が行なわれ、生命が生まれ進化し多様性が拡大してきました。地球生命圏科学大講座では、野外における地層の観察、採取試料の分析、室内実験などの第一次データを基礎として、長い時間軸を通じて地球生命圏に記録された情報を解読し、地圏物質の形成条件、地圏環境の変動メカニズム、生命の誕生と進化の要因に関する研究と教育を推進します。これらの研究を通して、地圏環境と生命の共進化メカニズムを解明するとともに、21世紀における人類社会と地球環境のあるべき関わり方についてメッセージを提示することを目指しています。

【組織と体制】

地球生命圏科学講座は、地球生命圏の多様な研究に対応するため、対象や手法に応じて5つの研究グループから構成されています。


地圏環境進化学

堆積相解析や同位体地球化学分析などを通して堆積物と地層に残された地質記録を解読し、地球史を通じての地圏環境の長期的および短期的変動要因を明らかにし、地圏環境進化-生物進化-地球内部進化の共変動機構を解明します。

地圏表層物質化学

地球表層を形成する物質のナノメーターレベルでの構造やその形成メカニズム、溶液と地圏物質との反応素過程をX線、電子線等を用いた物質科学的手法により明らかにします。

微生物地球化学

地球生命圏を構成する物質の化学的多様性の解析や、元素の移動・濃集・拡散機構の解明、バクテリアなどの微生物の活動・物質生産の研究などを通して、地球生命圏の化学的環境がいかにして形成され変動してきたか、またそれが生命の発展とどのように関わってきたかを明らかにします。

環境地球化学

生命物質と無機物質の反応過程を分子・原子レベルで探求し、原始地球における生命物質の起源および地球生命圏における生物と環境の相互作用をミクロスケールで解明します。

進化古生物学

主として化石と現生生物の比較研究に基づき、古生物のあらゆる生命現象を解析して、40億年におよぶ長い時間軸での生物の進化、生物と地圏環境の相互作用などを解明します。

臨象地球科学

自然災害や地球環境問題等の人間と地球が直接的に関わる事象を主対象として、野外調査を主体としつつ高度な分析や数値計算を組み合わせた学際的な研究に取り組んでいます。

東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 地球生命圏科学講座